風来坊

ノンフィクション


■ 中国てなもんや商社/谷崎 光 ★★★☆

商社のOLだった著者が中国との取引で体験するドタバタ。読み始めのころは「中国ってのはなんてトンデモナイ国なんだ」という感じだったが読み進めるうちに「なかなか中国も侮れんな」と変わってくる。いろいろ経済本はあるが、こういった実体験に基づく本のほうが、実情がよく分かり為になる。




■ ホームレス中学生/田村 裕 ★★

話題になってたから読んでみたが、それほど面白くはなかった。要は突然破産して親父が子供を放り出して、子供のほうはどうすればいいか分からず
公園で野宿してたというだけの話。





■ 冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見 ★★★★

何で命の危険を冒してまで、世界を旅したいのか分からんが、非常に面白い冒険譚である。
常に投資家の視点で各国の経済状況を市民目線で鋭く観察している。その辺の経済評論家の本より、遥かにためになる。



■ 1万円起業/クリス・ギレボー/飛鳥新社 ★★★★

アメリカと日本の文化や制度の違いはあるが、起業にはいろいろな仕事、形態があることを教えてくれるとともに、起業するということはそれほど大変なことではないことを

さまざまな実例を通して示し、起業に対する心理的ハードルを下げてくれる。



■ あんぽん 孫正義伝/佐野 眞一 ★★★★


孫正義を褒め称える本ではない。スキャンダルを暴露して貶めようという本でもない。
丹念な取材の事実の積み重ねによって、孫正義の実像に迫ろうという本格的な本である。
孫正義自身よりその家族、親族の方が、強烈な個性を持ち、波乱万丈の人生を送っており、
下手な小説の100倍は面白い。



■ 独居老人スタイル/都築響一 ★★★★


独居老人というと、世間の一般的な見方としては、惨めで寂しく哀れな人たちという感じだろうが
まあそんな人たちもいるだろうが、自由に楽しく自分の人生を好きに生きている人もいる。
この本はそんな自分らしく生きている、一人暮らしのお年寄りのインタビュー集である。
一度しかない人生、自分の好きなように生きるのが、一番幸せなんだろうなと思わせられる。



■ 世紀の空売り/M・ルイス/文春文庫 ★★★★

サブプライム問題に端を発し、リーマン・ブラザーズの破綻等を引き起こした、未曽有のアメリカの金融危機を少々違った視点から描く。
あのような暴落時にも、それを事前に予想し、利益を上げた者たちがいた。
そうした人物に焦点を当て、一連の金融危機がどのような経緯で起こったのかを、描いている。ある意味世の中の流れに逆らっていたわけで、
当然個性的な人物が多く、金融危機そのものより、それらの登場人物の生きざまの方が面白い。



■ 株式ディーラーのぶっちゃけ話/高野譲/彩図社 ★★★☆

日本の株式ディーラーの生態の一端を垣間見ることができる。



■ ギャンブルで勝ち続ける科学者たち/アダム・クチャルスキー/草思社文庫 ★★★★

ギャンブルというと合理的に制度設計がなされているというイメージだが、実際のギャンブルの中にはルールや制度に瑕疵があるものがあり
そこに付け込んで一儲けしようとした人々の物語。



■ 完全なる証明/マーシャ・ガッセン★★★★

世紀の難問ポアンカレ予想を解いたロシアの天才数学者ペレルマンの人物伝。
ポアンカレ予想を解いたことにより、数学者最高の栄誉であるフィールズ賞が授与されることになったにも拘らず
それを辞退し、さらに賞金100万ドルも断り、世界中の大学からの教授職のオファーも断って
世間との関係を一切断って隠遁生活を送る奇才ペレルマン。その人物像を幼馴染みや恩師等の関係者に対する
丹念な取材、インタビューで描き出す。




■ スティーブ・ジョブス/ウォルター・アイザックソン/講談社+α文庫 ★★★★


    アップルの創業者、スティーブ・ジョブスの伝記。本人へのインタビューはもちろん、周囲の人たちや事実関係の調査などを綿密に行い
    スティーブ・ジョブスの人物像を描き出した作品。かなり客観的な記述ではあるが、行間から滲み出るスティーブ・ジョブスへの
    愛情はご愛敬といったところか。これほど強烈な個性を持ち、これだけ波乱万丈の人生を歩んだ人間もそういないであろう。
    執念で作り上げたマッキントッシュ。しかし、そのためにアップルの経営が傾き、創業者でありながらアップルを追われる。
    しかし、ジョブスは負けずにNextを立ち上げコンピューター業界に挑戦していく。最終的には、再びアップルに呼び戻され
    ipod, ipad, iphoneと立て続けにヒットを飛ばし、アップルを飛躍的に成長させてしまう。
    葬儀で彼の妹が詠んだ弔辞がすべてを物語る。
    人は皆、道の途中で人生を終える。



 名前のない女たち/中村淳彦 ★★★★

   グラビアを単体で飾るAV嬢とはまったく別世界の、企画AVモデルと呼ばれる名前さえ与えられない女の子たちのインタビュー集。
   人前でセックスすることを職業にするというと、ちょっと常識では考えられないが、共通して感じるのは、やはりどこか壊れているということ。
   壊れ方はそれぞれまちまちで、凄まじい家庭環境で壊れてしまった女の子や、生まれながらに壊れている子などさまざま。
   学術的な調査ではなく、雑誌の企画のインタビューであるがゆえに、よりリアルで人生や人間について考えさせられてしまう。




■ 印度放浪/藤原新也 ★★★★

   高度経済成長時代、経済最優先の社会に違和感を覚え、より生々しい「生」を求めて、日本を飛び出し世界を放浪する
   青年の体験記。