風来坊

評論・エッセイ


残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法/橘 玲 ★★★★

この本は、いわゆる金持ちになったり幸せになるための方法を書いたHow toものではない。
人間の本能、社会の構造を客観的に分析し、幸せや金持ちになるための戦略を述べたものである。
とは言え、観念論抽象論に奔っているわけではなく、様々な人に適用できる程度に一般的に述べられているが、十分具体的である。



■ 純情ババァになりました/加賀まりこ ★★★★

自伝的エッセイ。テレビでは唯我の強いおばさんといった感じだが、もの凄くダイナミックに生きてるなという印象。時代背景もあるだろうしこの人自身の運もあるだろうが、さまざまな人との出会いが映画以上に波乱万丈である。こういう人生なら退屈しないだろう。




■「アメリカ社会」入門/コリン・ジョイス/NHK出版 生活人新書 ★★★

イギリス人ジャーナリストの著者が、アメリカ生活で体験したアメリカとイギリスの文化的ギャップ、
カルチャーショックをユーモアを交えて描く。



■ 既にそこにあるもの/大竹伸朗/ちくま文庫 ★★★

現代美術家、大竹伸朗のエッセイ集。様々な雑誌に寄稿された記事を集めたもの。
一つ一つの記事は3〜4ページほどの長さだが、一冊の本を想定して書かれたもの
ではないため、冗長さがなくボクシングの試合の各ラウンドのようにパンチが
効いてる。
前半の北海道での青春記、イギリス、アメリカでの体験記はメチャクチャ面白い。
が、後半の美術論、観念論を語る部分は途端に説教臭くつまらなくなる。
大竹伸朗は、体験的肉体的体育会系美術家である。



■ ゲーム Super 27 year life/飯野賢治 ★★★★

夭逝したゲーム業界の風雲児、飯野賢治の自伝的エッセイ。彼は結局ビジネスマンではなく
アーティストだった。その表現手段がゲームだったわけである。ロック少年がゲーム業界に
挑戦し、戦い、ある種の成功を手にした。波乱に満ちた生き様が、読む者の心を煽り立てる。
「お前も何かやってみろよ」と。



■ 我が闘争/堀江貴文 ★★★★

煽情的なタイトルとは裏腹に、語り口はいたって淡々としたもので、生い立ちからライブドア事件までを綴った自叙伝。
ホリエモンと言えば、フジテレビの買収や選挙への出馬などがクローズアップされて、一般的には何か口のうまいペテン師かイロモノといった
感じで、ライブドアという会社自体も胡散臭い会社と捉えられていると思う。実際私もそのように考えていたが、ホリエモン自身は
元パソコンオタクで、ライブドアという会社も技術力でまっとうに成長してきた会社であることがこの本からわかる。
出る杭は打たれるを地で行くような人生ではある。



■ ない仕事の作り方/みうらじゅん ★★★☆

自分の趣味や好きなことを仕事にする、即ち金を稼ぐ方法を、自らの経験を通して語っている。ただ好きというだけでは、お金にはならない。
その好きというレベルが尋常でないところまで来ると、お金になるという話。例えば、みうらじゅんは高校時代、歌を作ればモテると思い
誰に頼まれたわけでもなく400曲以上作ったが、情熱やパワーもそれぐらいないと仕事にはならないということ。



■ 多動力/堀江貴文 ★★★★

充実した人生を送るための実践的方法論を披露した本。他のこの手の自己啓発本と違って、全てホリエモン自身が実践してきたことを
述べてあるので説得力がある。しかし、そこはやはりホリエモン、一般人には真似出来ない事も書いてある。例えば「会議中もスマホいじってろ」
とか。そりゃ社長のアンタはできても、普通の会社で平社員がそんなことやったら叱責もんだろ。まあとはいえ、
この本を貫く「人の目や常識にとらわれずに、自分のやりたいことを思いっきりやれ」という精神は心を揺さぶるものがある。