風来坊

邦楽2



Tommy february 6/Tommy february 6★★★★★

ブリリアントグリーンのヴォーカリスト、川瀬智子のソロプロジェクト。こちらはポップな面を打ち出している。
エレクトロ・ダンス・フレンチ・ポップといった感じ。アイドル・ポップのパロディをやってるのだが
これが結構ドはまりしている。そんじょそこらのアイドルのアルバムよりはるかによくできている。



WORKS THE BEST OF TRF/TRF ★★★★

小室哲哉プロデュースのダンス・ヴォーカル・ユニット、TRFのベスト盤。アレンジは当時の流行やひと昔前の
ディスコ・サウンドを取り入れたダンサブルなサウンドだが、メロディー・ラインは普通の歌謡曲である。
ダンスナンバーだけでなく、しっとりしたバラードやポップチューンなど、多彩な楽曲で改めて聴いてみると、良曲ぞろいである。
小室の様々なプロジェクトの中では、小室のやりたかったことが、最もストレートに出来ていると感じられる。



Gift for Fanks/TMNetwork★★★★

初期のTMネットワークのベスト盤。このころが小室が最も創造性に溢れて輝いていた時期かもしれない。
後のダンスビート主体と違い曲調もバラエティーに富んでいる。スネアの音に時代を感じるが、
今でもというか、今の時代にはない魅力がある。



DEEP RIVER/宇多田ヒカル ★★★★

デビューアルバムが驚異的な売り上げを記録したため、二作目は勢いで出してしまったという感が否めないが、
三作目である本アルバムは、落ち着きを取り戻しその類稀なる才能を遺憾なく発揮している。
デビューアルバムでのヒップホップ、リズム&ブルース、テイストは薄れ、よりポップ、ロック、
歌謡曲色を強めている。
宇多田ヒカル自身は、音楽一家に生まれ育ったとはいえ、アカデミックな音楽教育は受けておらず、
ミュージシャンとしては言わば野生児。そのことが却って、昨今のいかにも音楽学校出ました的な、
耳障りの良い予定調和的無個性で退屈な音楽の氾濫する中で、ひと際、輝きを放っている。
そのあたりは、Coccoに通ずるものがあるようにも思う。
宇多田ヒカルの紡ぎだす詩の世界も独特で、凡そプロの作詞家では考えつかないであろうような、言葉遣いや
世界観を描き出す。ある種素人っぽさが残る詩であるが、素人臭くならないところが、宇多田ヒカルの個性であろう。

DADA/DADA★★★★

二人組ユニットによる、全編インストゥルメンタルのアルバム。シンセサイザーとエレキギターを駆使して、
いかにもなシンセ・ミュージックからコミカルなナンバー、果てはシンフォニックな曲とバラエティーに富んだ曲を
繰り広げ、聴くものをあきさせない。



Fence of Defence/Fence of Defence ★★★★

西村麻聡(B)、北島健二(G)、山田わたる(D)という実力派三人によるハードロックグループのデビューアルバム。
シンセを多用した進化系のハードロックを聞かせる。タイトなリズムセクション、キャッチ―なメロディ、
鋭いギターで今聞いてもカッコイイ本格的ロックを聞かせるが、一般的な人気を博すまでには至らなかった。
まあ、日本ではグレイのようなロックっぽい歌謡曲は受けるが、本格的ロックは受けないという事だろう。



BABYMETAL/BABYMETAL ★★★★

プロデューサーkOBA-METAL考案による、アイドルポップとメタルの融合という斬新なアイデアで出来たグループ。
楽曲自体はメタル演奏の上にアイドルポップを乗っけた感じだが、メタル風ではなく、ゴリゴリのメタル演奏という点がミソだろう。
ヘヴィーなバックの演奏に負けないというか埋もれないSU-METALの力強く透き通ったヴォーカルが、最大の魅力であろう。
ネット、YouTube等の発達に伴い、国内外で人気に火が付き、遂にロンドン、ウェンブリーアリーナで初の日本人アーティスト単独公演を行うまでになった。
しかし、好事魔多しというか、このあたりからBABYMETALの先行きに暗雲が立ち込めてくるようになってくる。
小神さんの早逝は仕方ないにしても、このころから恐らくプロデューサーkOBA-METALは、BABYMETALを本格的メタルバンドにしようと
考えていたのではないかと思われる。やはりウェンブリーアリーナでの成功により、自信過剰になっていたのだろう。
元々イロモノから出発して、イロモノであるがゆえに成功したのに、本格的メタルバンドを目指すのは、本末転倒というか自己否定ともいえる。
また、プロモーション活動においてもちぐはぐなところもあった。インタビューでミッキーマウスが云々言っていたが、今や海外のファンも
YouTubeでさくら学院のビデオまで見ているというのに、何たる時代錯誤してるんだこのおっさんはと思わずにはいられなかった。
それこそ国内外のテレビ、雑誌にガンガン出て、写真集発売とか、既存のメタルバンドがやらないことをじゃんじゃんやって、攻めていれば
今頃、本当に世界征服していたかもしれない。それだけのポテンシャルは十分あったと思う。
本格メタルバンドに変貌していくBABYMETALに耐えられなくなり、YUIMETALが脱退し、なぜかその後またイロモノに戻したようだが、
ある意味YUIMETALがBABYMETALを救ったと言えるかもしれない。