風来坊

洋楽3



Under Lock and Key/Dokken ★★★☆

80年代L.A.メタルの雄、ドッケンのアルバム。メタルでありながら、メロディアスな曲と、ジョージ・リンチ
の速弾きだけではない泣きのギターが聴ける、聴きやすいアルバムである。





Spectrum/Billy Cobham★★★☆

全編インストナンバーのフュージョンアルバム。ビリー・コブハム:ドラム、ヤン・ハマー:キーボード、
トミー・ボーリン:ギターといった布陣。
その他数曲でホーンが入っている。ビリーの多彩なドラミング、ヤン・ハマーの縦横無尽に駆け巡る
ムーグサウンド、トミー・ボーリンのギターがロック色を添えている。



The Doors/The Doors★★★★

ドアーズのサウンドの特徴は、オルガンをフィーチュアした、よりサイケデリック・ロック、アート・ロック的な音
といったところか。
しかし、ドアーズの最大の魅力は、ジム・モリソンのヴォーカルと彼が構築する詩の世界であろう。
デヴューアルバムにして全米2位ということが、社会に与えたインパクトの強さを物語っている。



Spartacus/Triumvirat★★★☆

ドイツの三人組プログレ・グループ。ひとことで言うとELPのクローンだが、本家ほどの創造性、衝撃度、
演奏技能はない。
ELPからジャズを引いてポップを足した感じ。そのことで却って聴きやすいサウンドになっている。



Heartbeat City/The Cars★★★☆

80年代アメリカン・ポップ・ロック。この時代の特徴として、シンセを多用しているが、バンド・サウンドは維持し
つつ、軽快なロックを聴かせる。



Autumn/George Winston★★★★★

ピアノ・ソロのインスト・アルバム。ピアノ曲というと、超絶技巧を駆使したテクニカルなものになりがちだが、
この作品はそうした流れに対するアンチテーゼである。あくまでメロディ、楽曲重視で、むしろ超絶技巧を
意図的に排しているようにも感じる。
ピアノという楽器の持つ素晴らしさを改めて感じさせてくれる。



First Circle/Pat Metheny Group★★★★☆

一曲目は少々驚かされるが、二曲目からは水彩の風景画のような、爽快な疾走感が全体を流れる。
ギタリストのリーダーアルバムというと、ギターがやたら目立つというのが常だがこのアルバムはそのことを
感じさせない。ギターが曲の中に溶け込んで、素晴らしいアンサンブルを聴かせる。




America/America★★★☆

アメリカ青年三人のフォーク・グループ。日本だとフォークというと四畳半の暗く貧乏くさいイメージだが、
こちらは牧歌的な自然の風景を感じさせる。「名前のない馬」が大ヒットした。全米一位。



Songs from The Wood/Jethro Tull★★★★☆

イアン・アンダーソンのヴォーカルとフルートが特徴的なジェスロ・タルのサウンドであるが、
本作品はイギリスのトラッド色が色濃く反映された良質のロック・アルバムである。



Mind's Eye/Vinnie Moore★★★☆

メタル系高速テクニカルギタリスト、ヴィニー・ムーアのソロ・アルバム。メロディアスなテーマやキーボードを
導入するなど、構成もよく練られたアルバムだが、ギター・ソロ部分は、これでもかと言わんばかりの凄まじい
超高速速弾きである。正直、そこまで速く弾く必要があるのかと思ってしまう。お好きな人はどうぞ。



the spirit room/michelle branch★★★☆

2000年代初頭に現れた、アメリカのティーンエイジャーの女性シンガーソングライター。ビートルズ等に影響を受けた
というそのサウンドは正統派のロックといえるだろう。アレンジとエンジニアリングが良いせいか、音の分離、音質が
良く,、非常に聞きやすいアルバムとなっている。



Hasten Down The Wind/Linda Ronstadt★★★★

70年代アメリカ・ポップス界の歌姫。その艶やかで伸びがあり、それでいてパワフルなヴォーカルが魅力の
リンダ・ロンシュタット。グラミー賞受賞等、彼女の絶頂期のアルバムと言っていいだろう。



Balance/Van Halen★★★★

少々不気味なマントラの読経から始まり、一転してブラウン・サウンド全開のリフ、それを支えるヘヴィーなリズム。
正に王道のハードロックである。全体的にミドル・テンポの楽曲中心で、ここぞというところでは速弾き、
十八番のタッピングも披露するが、アンサンブル重視でメロディアスなギター・ソロを聴かせ、
円熟味を感じさせる。楽曲、音質もよく、何度も聞けるアルバムである。



Year of the Cat/Al Stewart★★★★

哀愁を帯びた叙情的なメロディーに繊細なヴォーカルが乗るフォーク・ロックの傑作。




Upstairs at Eric's/Yazoo★★★★

ヴィンセント・クラーク:ノイズとアリソン・モエット:ヴォーカルのエレクトロ・ポップ・ユニット。
ヴィンセント・クラークの無機的機械的シンセの音の上に乗る、アリソン・モエットのソウルフルなヴォーカルが
ユニークなサウンドを聞かせる。この時代はシンセといってもデジタルではなくアナログ。
ローランドのSystem 100Mを駆使したサウンドは、ある種有機的な趣を漂わせる。



Sarabande/Jon Lord★★★★

ディープパープルのジョン・ロードを期待するとがっかりするし、クラシックのアルバムと思って聞くとなんだかなあ
という感じ。しかし、プログレと思って聞くとこれがなかなか素晴らしい。
恐らくジョン・ロードは作曲やオーケストレーションに関してはアカデミックな教育は受けていないだろう。
そのことで、堅苦しくならずに聴きやすい、ロックとクラシックの融合が成功している。



Desolation Boulevard/Sweet★★★★

Man With The Golden Armでの長いドラム・ソロ、The Who のカヴァー「My Generation」等、ポップ色は
抑えられ、より骨太なロックを聞かせる。

Asia/Asia★★★☆

スティーヴ・ハウ、ジェフ・ダウンズ、カール・パーマー、ジョン・ウェットンという錚々たる面子であるが、
奏でられる音楽はポップでキャッチ―な商業プログレ。変拍子も超絶技巧を駆使したソロもなく、
そのことで却って聴きやすいアルバムになっている。

OXYGENE/JEAN MICHEL JARRE★★★★

全編シンセサイザーによるインストゥルメンタル・アルバム。初期のタンジェリン・ドリームが無機的シーケンス・
フレーズの上に即興的に音を重ねていったのに対し、ジャン・ミッシェル・ジャールは緻密に構成された
シンセサイザー・シンフォニーとでも言うべき音楽を奏でる。
とは言えシンセサイザーを既存の楽器の代用として使うのではなく、シンセサイザーでしか出せない音で曲を
構築している。その構成力、音の多彩さには驚くべきものがある。



Moving Waves/Focus ★★★☆

オランダのプログレ・グループ。一曲を除きすべてインストゥルメンタルのアルバム。エレキギター、ハモンドは
ブルース、ロックの奏法を用いているが、それ以外はクラシック音楽の要素を取り入れている。
しかし、それらがうまく融合しておらず、なにか取って付けたような感じが否めない。