風来坊

教養



ハーバードの人生を変える授業/タル・ベン・シャハー/だいわ文庫 ★★★★

これから何か生産的なことに取り組んでみようとしている人には、具体的な行動指針を与えてくれる。
また、現在何かをやっている人には、有益な改善策を提示してくれる。



暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり/吉本佳生、西田宗千佳/ブルーバックス ★★★★

ビットコインに代表される暗号資産のしくみ、利点、問題点、将来性を、既存の法定通貨、
クレジットカード、電子マネー等と比較しながら、わかり易く解説する。
こうすれば儲かります式の本でないため、客観的な知識が得られる。



ブロックチェーン革命/野口悠紀雄/日経ビジネス文庫 ★★★★

ビットコインをはじめとする暗号通貨を支えるブロックチェーン技術。筆者はそれが
インターネット以上の変革を社会にもたらすという。 簡単言うとインターネットは
情報を手軽に送れるツールだが、ブロックチェーンは価値を安価に送れるツール。
現在は決済や送金では銀行を通すしかないが、それだとかなりのコストが掛かる。
ブロックチェーン技術を使うと銀行を通さず安価に直接相手に送ることができる。
このことは各国の中央銀行が通貨の管理をすることが難しくなり、延いては
通貨供給量で経済をコントロールする政策が効かなくなる恐れがある。



■ 知の逆転/吉成真由美/NHK出版新書 ★★★★

現代の知性を代表する6人の研究者に対するインタビュー集。その道の第一人者だけあって、
言葉に深みがあり、示唆に富む。それでいながら、簡潔でわかり易く、優れたインタビュー集である。

■ 人生論ノート/三木清 ★★★

修辞法、弁証法の学習には良いかもしれない。



■ ソフトバンクで占う2025年の世界/田中 道昭/PHPビジネス新書 ★★★☆

ソフトバンクの沿革、収益構造、問題点、将来性について分析しているが、若干、遠慮がちというか及び腰である。
もっと鋭く切り込んで分析してほしかった。まあ、サラリーマンの書いたレポートと言った感じ。



■ データでわかる2030年地球のすがた/夫馬賢治/日経プレミアシリーズ ★★★★

様々な国際機関が調査、研究した近未来の地球の姿の集大成。これまでもニュースなどで断片的には耳にしたものばかりで、目新しさはないものの、
こうして改めて、具体的な数値とともに眺めてみると、結構衝撃的というか、事態は思ってた以上に深刻なんだなという感想を持つ。
明日の株価は誰にもわからないだろうが、10年後20年後の日本の人口は大体予想はつく。日本は巨大なタンカーみたいなものだから、
急に進路を変えることはできない。日本の出生率は1.3くらいだが、来年突然2.0になることはないだろう。たとえ奇跡的にそうなったとしても人口は
減り続ける。あまり愉快ではない未来像が描かれているが、恐らく大体現実のものとなるであろう。
2019年にはアマゾンで1万平方キロほど熱帯雨林が消失したそうだが、その多くは大豆と牛肉の生産のためだ。
彼らに地球環境のために貧乏でいろとは言えないだろ?言ったところで効果はないだろうし。結局、理性は欲望に勝てないということだな。
まあ行くところまで行って、何らかのカタストロフが起こるだろう。
それでも人類が滅亡するとは思わない。人口が半分とか3分の1になるかもしれんが。



■ 2030年すべてが「加速」する世界に備えよ/ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー/NewsPicks ★★★★

現在世界で研究開発中の技術や既に実用化されつつある最先端技術について紹介し、それらが世界にどのような影響を与え、我々の未来がどうなるかを
予測している。 この本の通りになるとは思わないが、世界でどのような技術が研究開発され、それらがどう世界に影響するかを知る一つの資料にはなる。
しかし、いちばん驚いたのは、ジェフ・ベズスとイーロン・マスクだな。月と火星の違いはあるものの二人とも宇宙移住プロジェクトを立ち上げ実際に推進している。
宇宙移住とか一昔前なら、国家プロジェクトでやるようなことを個人でやってしまうというんだから恐れいる。スケールのでかさが桁違いだ。



■ ライアーズ・ポーカー/マイケル・ルイス ★★★★

1980年代後半のソロモン・ブラザーズの繁栄と凋落を生々しく描いた作品。それもそのはず、著者自身が新入社員としてソロモン・ブラザーズへ入社して
その体験を記したものである、そこには実際に体験したものでしかわからない債権トレーダーの生態が生々しく描かれている。とはいえこれはソロモン・ブラザーズの
内情を暴露したドキュメンタリーではなく、債権トレーダーのテクニックを披露したHow toものでもない。
様々なエピソードが散りばめられた債権トレーダーたちの人間ドラマが英国風ユーモアに包まれ、物語風に生き生きと描かれている。


 
■ 安いニッポン 「価格」が示す停滞/中藤 玲/日経プレミアシリーズ ★★★★

2020年、米住宅都市開発省は年収13万9400ドルを、低所得者に分類した。今の為替(138円)で計算すると1923万。
ほぼ2000万、普通の日本人の感覚から言ったら富裕層だろ。どれだけ日本人は貧しくなっているのやら。
今はまだ、大半の日本人は貧しさをそれほど実感していないだろうが、これから骨身に染みるほど味わうことになると思う。
一つは日銀の行っている異次元金融緩和。いままでは欧米諸国も金融緩和の流れだったので、あまり目立たなかったが、
ここに来てアメリカが金融引き締めに向かいそうだから、そうなると円安は止まらないだろう。日本も異次元金融緩和止めればよさそうなものだが、それは絶対できない。
日本はコメ以外は自給できない。ということはこのまま円安が進めば、あらゆるものが値上がりをする。コメも輸送費がかかるから値上がりせざる負えない。
まあ、それ以上に賃金が上昇すればいいが、その点はかなり悲観的だな。
アベノミクスはまだ終わってはいない。これから後半戦という感じだな。いままでが正の局面とすれば、これから負の局面が始まるという感じがする。
なんとなく2〜3年以内に金融・経済で大惨事が起こりそうな気がする。



■ 100年予測/ジョージ・フリードマン/早川書房 ★★★★

地政学、歴史、経済的観点から、今後100年の世界情勢を予測する。今後問題が起こりそうな地域を五つほど上げているが、その中に
現在まさに紛争が起こっているウクライナも含まれている。この本の日本版の発行が2009年であるから、予測は当たったことになる。
地図を見れば、明らかなようにロシアにとってみれば、ベラルーシとウクライナは決して手放すことのできない地域ではある。
ベラルーシはロシアべったりの親露政権だからいいとして、ウクライナは民主的で西側に近い国である。もしここが西側についたら
ロシアにしてみれば、のど元にナイフを突きつけられたようなもので、到底看過できないだろう。即ち、今回のロシアによるウクライナ侵攻は
プーチンの気が狂ったわけではなく、ロシアとしては必然的な行動だったわけである。プーチンがやらなくても、いずれ誰かがやったであろう。
もっとも今回のような軍事侵攻をやったかは、疑問だが。
この著者によれば、ロシアと中国はいずれ分裂崩壊し、今世紀のアメリカの覇権国家としての地位は揺るぎないものと見ている。
そして、ロシア、中国分裂後のユーラシア大陸で勢力を伸ばす国として、トルコと日本を挙げている。
この本の前半は理路整然としていて、なるほどなと思わせるが、後半は近未来SF小説のようになってしまっている。
まあ100年後を予測しようとすれば、そうなってしまうのも致し方ないかもしれない。
しかし、全般的には、読み応えのある力作と言えよう。



■ 天才はしつこい/ロッド・ジャドキンス ★★★★

偉大な作品を生み出した芸術家や、優れた事業を成し遂げた実業家が、どうやってその着想を得、実行し、困難や障害を、
克服したかについて、簡潔明瞭に記してある。
全体が80のセクションから成り、各セクション4〜5ページ程なので読み易い。
一気に全部を読むというより(そうやってもよいが)、時間が空いた時に2〜3セクション読んだり、
気に入ったところを繰り返し読んだりするのに、適している。
この本に書かれているアイデアを、一つでも毎日の生活で実践してみれば、
人生の質が、向上するかもしれない。